引き解けにひと結びした「サングァー」

芒や砂糖黍・月桃の葉をひと結びした自然素材の護符のようなものを見たのは、島を訪ねるようになって間もなくのこと。食膳の隅にまた宿のベッドサイドに、なにか忘れもののような風情で置いてあった。

切符不要の膝の上だった娘は、セーラー服を着ようかというほど時間が経った(らしい)。私がハンモックの手編みの座興にロープ欠片で結んだキーリングは、写真背景のようにこの間過剰に複雑化したものになってしまった。

靴に結べば履くにも脱ぐにも一筋縄(三文字傍点)ではいかない、おそろしくデコラティブな域に足を踏み入れた。サングァと一緒に今日の仕事の成果を二つ、たなごころに載せてみた。

3ミリアルミ・スリープをストッパーに30ミリリングに、通したのは3ミリ純綿ロープ柿渋染め。端始末は環状にアイスプライスで繋いだだけの、これ以上シンプルなものはないキーリング。

アコウの森「結びのミューシアム」が、いずれ名刺がわりにするものはこれだろう──と思えるものが出来た。到達した、たどり着いた、帰ってきた。今夜は一杯やりに出掛けて冗漫に思うだろう、それもよい。