「従者」を募る

七メートル長の伸縮梯子を初めて持つ身になったのは、アコウの森を手に入れたからだ。7、9、11メートル、島のホームセンターには三サイズあった。

 膝に水の溜まる経験をする前のことだったが、体力の下り坂をはっきりと自覚した。もう少し前なら、迷うことなく11メートルの梯子にしただろう。

 肩に担いでみて出来ることはどの程度か、ホームセンターの雑踏の中で客の胸中は色々だ。さて、11メートルの梯子にしたとしても、アコウの森の中段にさえ到達できない。

横に張り出した枝を落とすだけで台風から受ける損傷の度合いは、大きく違うだろう。上に伸びるのは、身軽な従者(後述)に譲るとしたい。

 覚束ない足取りで、横に張り出した大きな枝を切った。先ずは北側。北側に拓かれた旧存の畑に、広範囲に蔭を落とすのだ。

 切断持に梯子が外れそうなほど、跳ね上がる。ロープでゆるく括ってなければ、すんでに転落するところだ。それが写真の小さなシークヮーサーをを食い尽くして、途方に暮れたアゲハの幼虫を思わせた。

 募る「アコウの森・空中分譲」オーナーをそう呼ばす、「従者」と呼ぶ点を付け加える。また約(棒点一字)14本のアコウは一本ごとたが後に接合した場合は、従者も統合されてしまう。

 大きな小鳥の巣箱のようなものが、11軒!も載っている様を夢想した。