作られた苗でない「ヤシの赤ちゃん」

伊野田のアコウの森を森と呼ぶには気がひける――のだが、やがて名にふさわしいものになる。ガジュマルの仲間のアコウは、もともと一本二本と数えきれない素性の木だ。

苗で植えたときは一〇本だったか十二本だったかはっきりと数えられただろうが癒着結合の末、今となっては「空中分譲」一〇株ですと言い切るのは便宜上のことだ。

かたや十四本のヤシの並木の方は足元に目をやると、夥しい赤ちゃんが芽吹いていた。「ヤシの木陰ハンモック手編み昼寝一〇年教室」は、どうだろう。

早朝から編みはじめれその晩には編み上げたそれに寝て一夜を過ごす「一日教室」と並記すれば、時間をどうとらえているかを思い直す機会になっておかしい。

昼寝一〇年教室とは――、以下は紙。