アコウ起つ

ひとりで立てるがこれほどよらば大樹なら、まずは相手を立てておく。椰子の幹の背後に円柱が覗いているが中段の緑を繁らせたものでなく、それは電柱。

椰子の葉ない中段の繁みは、網目状に取りついた幹を持たないアコウの葉の塊り。椰子の幹の裏に廻ってもアコウは網目状で、中段の繁みは椰子のものかと思うほどである。

私のアコウの森は自立したアコウの林立で成り立ってことと比べて、自在なアコウの起ち方に下を巻く。ここは全日空ホテルへの、専用導入路の入り口。向かって左に金ぴかのロゴ看板、右に椰子アコウ木。

堂々と起ってからアコウを這わせた庭師の、デザインセンスを感じる。こののち二〇年くらいで、南の島のホテルに趣は出来上がるだろう。