結びを解かない

「冷血」という、いかにもよくできた訳題と思われたモノクロ映画は直訳そのものだった。映画通に笑われる感想はおいて、どんな罪人であれ縛り首縄の役割りが人の生き死に対した扱われ方は洋の東西を問わない。

二人のために首吊り縄は、二本さがっている。踏み板が外れて絶命、縄は解かれず切り落とされた。一人暮らしに似ず私は今日、2000円余のスイカを提げて帰った。

予めビニール包みで売られていて、五階宅に運び入れたら結びは絞まって解けなかった。解くように結ばれていなったのだがそこは私、しばらく試みたあげく諦めた。

2000円余のスイカはあの吊るされた男の、頭ほどずしりと重かった。スイカの包みも二度は解かない時代に、私はそれを余命のテーマにしているのだった。