無名のもの

近所のアクセルがステーキ屋をはじめて以来、付近の野良はやけに血色かよい。猫はあの手で顔を拭う程度で、満ち足りていれば綺麗だ。

郵便局前の筋向かい辺りを根城にした野良が「オセロ」である以外に、名のある野良が他にない。澄んだままの眼をあけた猫が、そのそばで死んでいた。これはオセロじゃないな、その名を知ればこそ。