1947年の亥だというベルギー女性

毎年のように何度か訪ねたが会えずじまいだったというベルギー女性が、あの青い土瓶はどうしたと尋ねた。そんなことを言う人に、一年に三人くらい会えてうれしい。

あさってにはストックヤードから持ってきておくと答えて、彼女を待つ間に漂着ロープを提げ手にした土瓶にしてみた。
これはという表情でなおかつ程よい耐久性がなくちゃならないから安定生産は無理だ、廃棄ロープをしつらえに用いると言う思いつきは。

亥歳の彼女はうーと言ったままだったが、私自身はこの出来映えにニヤついた。もう一人の作者・中村康信の暮れの手土産にする。彼女のお気に召したのは、アダンの気根を割いて捲いた土瓶だった。
彼の感想は決まっている、宜しいんじゃないですかァだ。