暗青色のサバニが港開口部に消えたあと再び離島桟橋に視線をもどすと、突堤の先端と四角い積み荷の向こうに動かぬ立像二体に気がついた。ときに入水を逡巡する者もおろうが、ほぼ竿持つひとである。二人も暗青サバニの生業の毎日を、知っているだろう。 そう…
日の出前いちばん爽やかな風に誘われてベランダに出ただけで、くだんのサバニを見るために早起きしたわけではなかったが。 フツーの船に比べたら速いが今朝はなんだかいつもより、ゆっくり港を出ていった。それでも後部に波しぶきを撒き上げて、矢のように疾…
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