「えこがやってくる」

タタミ4枚半の貸し農園を10区画ほど用意した。耕作者はまだわずかで、募集をいそいでいない。四畳半にかわいい畝が三四本できている。相続問題で土地売却を相談して旧交をあたためた中学で同級だった照久くんが、一区画。この不動産屋は仕事帰りに、ネクタイをしめて革靴をはいて水やりにやってくる。こんなに天気予報が気になる日々は、かつてなかったというのが目下の感想という。
なす、枝豆、エンドウ、ダイコン、キャベツ、とろろ芋に落花生など、猫の額はにぎやかだ。
まだ二ヶ月足らずで口に入ったのは、間引いた大筆ザイズのダイコンだけだろう。

第ニ子がお腹に入っている万紀子さんはエコ(三歳児)と、電車を乗り継いで来ている。気象情報は飛躍的にふえたが、だからといって天気予報の当たるようになったわけではまったくない!と思う今日このごろである。
冬越しして株分けしたイチゴがすこしづつ色づいてきた。鳥たちがその日を待っているようだが、見越して網をかけて無事エコの口に収まった。

四畳半の畑とはべつに、水田も用意している。一反の長辺をトラクター一往復の幅で細長く仕切った一〇余区画。耕し残した境界のレンゲのタネを、水が入る前に摘んでおくことにした。年明け前に一反あたり6キロのレンゲを蒔いたが、十分とはいえなかった。
エコとお母さんでひとしきり摘んだがさやから外したら、ま・300グラムですね。……。