鳴かないヤモリ

島のものと違って当家のものは黙っているが、フレームからはみ出す元気にかわりない。背中に一点破線の稜線がある。こうだったかな、まじまじ見てみる。築六〇年の二階家は、あらかた解体。彼の家を守る役も終った。解体した古木の間で休むヤモリ。
島でヤモリが鳴くときいておどろいて、二年になる。