しげはるさんの旅

彼に会うことはできない。終盤のにさん年は、スフィンクスの難問の先のように畑で四つん這いだった。
太陽と水と風と土、彼が私に教えてくれた事柄は、こうしたこと。
彼の畑からこの夏も、南瓜が逃げたそうとつるを延ばしている。
車に踏まれぬように橋で被ってやれと、彼が生きていれば言ってやるだろう。島に帰る日。