もとに戻らないこと

OFFにされていモニターのスイッチを入れると、波形はとうの前から棒状だった。まもなく規則的に空気を送り込んできた呼吸器を止めた。
動いていたのはキカイだっだのねと、妻は震えながら言った。長く一緒にいなかったが、まず後ろからそれから前に回って肩を抱いてやった。二〇年も経ったのに。共通項の少ない二人だったが、終わりがけに同じ土産を持たされてしまった。出口はない。

割れ皿パズルまた私には鎮魂であると言って、誰が我が意を得るだろう。


ふとしたことで目にとまった、御巣鷹山遺族会をまとめたお母さんの書いたもの。彼女の歩んだ道のりは「傾聴」を主眼とした分裂病を得た者の施設につながっていたと文末に記してあった。
私なぞ足下にも及ばない。

床で四散した青木益恵の黄瀬戸土瓶、弦ごと水に浸けてあったので腰の高さから垂直に落下。叩きつけたように見事、これでは超絶パズルになってしまう。

空色の点々の小鳥が日航によるもの。周辺に盛り上げてあるのが割れ皿パズルのコレクションだが、その一つを並べてみた。
三島手の白土で象嵌がほどこされた皿だが、中ほどがくりぬけて裏向きにある。そのわけは。


パズルのヒントは図柄だが器な場合は柄・キズ・釉薬の流れ・発色などのほが、器の腰の張りや縁の形状や裏面の高台のぐるりなんかも手がかりだ。