アメリカ人の名前「ウィル・ペニー」

猿の惑星の一番に登場、あらぬ星に不時着してすぐ騎馬の猿の一団に網で狩られる。右往左往のあげく。その躍動する肉体は盛りをすぎていたが、チャールトン・ヘストンは宇宙船のキャプテンらしく精悍だった。

人の名前が映画タイトルになるなら、内容を彷彿とさせる名前が選ばれるだろう。
市井の凡庸な名前を採用すれば、細やかな起伏を丁寧に描く意図に合致すると考えるかもしれない。たとえば……。

平凡太郎、へいぼんたろうと読ませてタイラボンタロウ。
丸井太郎、まるいたろう。
三角八郎、さんかくやろうとよませてミスミハチロウ。
ペニーさんと子持ちの女が呼んでいるペニーとは、どんな語感をもたらすものだろうか。

老いた牧童に大切な二人を引き受ける時間はもうないのだと言うペニーは、まだ五〇そこそこなのだった。
時代は牛を運ぶ仕事は、鉄道がするようになるとカウボーイが老い先を案じる頃。

猿の惑星よい前に撮られたものだろう。小さく区切って観ているが、見終えるのが惜しい気分に、久し振りにさせられた。
が、そう言って生死の淵での騒動の後、ペニーはあっけなく去った。シェーンのようでなく、子は別れの言葉を口ごもる。