とっくりキワタのタネ

綿毛ひと塊にひとつ、タネが含まれている。綿毛はタンポポのそれのように落下傘やパラソルのような、指向性をそなえて空に放たれるようなデザインではない。

もっと、こう……モヤモヤの綿毛だ。上昇気流にのればもちろん勇躍するだろうが湿った風に浮遊したり、モンスーンに翻弄されても嬉々として徘徊して、新天地を探索に出掛けられるのではないか。

一果から得られたタネを月桃の葉の笊に干しながら、行く末を思い描いてみた。