百冊選

背表紙を眺めるだけでゲップの出る「人間臨終図鑑」四分冊判に、ふと手が出てしまった。言うまでなく、吊り床上で読む百冊選のためのことだ。

若い順の1から紐解いて、まことに滅入る。失敗したが、もうやめられない。

記憶では国道が145号線から146号に変わって、大町佐野坂に立ち入る手前。山田風太郎のその1、80ベージに掲げられた28歳で事故死した青年の記念館がある。

おそらくは生家であろう。パリで大観衆に手を振って答える光景を、思い出せる者も僅か。二〇回ほどであろうか?安曇野仁科三湖白馬栂池に仕事で通る度に立ち寄ったが、その死が開戦三日目でそのようなものであることは知らなかった。

朝日新聞社神風号、陸軍司令部偵察機の改「新司偵」。今となっては判じ物に類する。