写真の旅

旅の写真のことでない。今日までため込んだ写真の束を、島まで運んだ後に処分する気持ちをどう言えばよいか?

名古屋のギャラリーで扱ってきた陶器の写真が大半だが、DMや図録のために撮影の合間にフィルムの余白に撮った折々のカットがまた、何度か処分の決意を鈍らせた。

挙げ句、こんな島まで運び込んでしまった。小さな島だが港の賑わいから車で30分も離れた場所が、自由にできるようになって、これを灰にする日がやってきた。

佐野坂の向こうの安曇野のどこか、お堂の縁側に並んで三脚を立てた。残雪が道端にあった。

モノクロームは証明写真サイズの、密着焼き。きっと慶三おじさんの、二眼レフではないか? 愛子と私──と思って複写して拡大してみると、手編みの胸はYUZIとなっている。

僅かだが明日、島の一部になる。