エーエム6、青いサバニ

黒いかたまりの浮かぶ作業デッキが、曳かれて出てゆく。
残月が西に25度傾いて、朧とも言えない。反射面最大の満月の翌朝のこと。

登野城の船溜まりから埋め立て島への橋をくぐって、青暗いサバニがデッキを追って出てゆく。
FRPを含浸させた木造動力サバニは、私が島にきた僅かの間にめっきり数を減らした。水面下に浅く、跳ねるような高速。この青黒い早朝サバ二がいつも気持ち良さそうにぶっ飛んでいくのを、見るのが私は好きだ。

新川の船溜まりの水が抜かれて、干上がったサバニがむくろをさらしていたのは、つい三年も前だろう。

写真では小さな点にしか見えない動力サバニ、横波には弱いが直進性は素晴らしい。

どんな漁に出掛けるのか? まだまだ働けそうだが、明日のことは分からない。港に休んでいる姿を、一度拝みに伺おう。船も確かめたいが、お話もききたい。