ちひろさんの足許

アディダスのマークはどこかの靴屋が相手先ブランドで納めたもので、悪くない出来映えではないか。上げ底だけどネとちひろさんは言って、わが新シリーズに履き替えた。作ったのはアジアのどこか。わが国にその技術が温存されているか疑わしいが、こんな視点で「あじあ共栄圏」を再び表明してはどうか? 技術継承に国境など、もうどうでもいいではないか? 日本で消えてもどこかに息づいていれば、さみしく思うのはやめよう。

旅行の続きはこれにしてアディダスの方を袋に入れたらと言ってみたら、お土産が汚れちゃいや──と言って私を喜ばせた。
同色で片方が無地、もう片方が柄。目立たないが、よく見ると「ひとえ継ぎ結び」が連続している、新シリーズ。最新のダッシュ化。

靴ひもは四ミリの純綿ロープで結んだ。同色の藍は靴と違って、ホンモノ。島の染織家・高階さんにお願いしている。
彼女は手首から先が、真っ青。初対面の人に対して、後手で接しているのがおかしい。

「一重結び」は島の軒先に吊るした硝子浮きを、包み編みする網と同じです。来週はこのダッシュ化したスニーカーが、たくさん並びます。