このテの連中

2016熊本地震復興支援チャリティ・10/23(日)
「与那国カウボーイ」上映会

主催:ライティング・オブジェ制作委員会

代表の名前は仁木洋子となっていて、空間演出デザイナー、プロデューサーを名乗っている。
開催は夜だから現地・ヒカワで一泊することにした。子ども向けの副催事「光の箱」を昼間のうちに用意していて、こちらが映画の企画主体であるようだ。

この手合いには、実名で評するのが妥当だろう。ビラにこうある、──地球環境と子どもたちの未来に向けた平和のメッセージを発信する、光のアートチャリティー。20006年に仁木が呼びかけ浅倉摂(文化功労者)、石井竜也(アーティスト)など11名でスタートした云々。以来今日までに1000万円くらい集めて寄付したと、上映冒頭で仁木は挨拶した。

木枠にパターン化した屈折を生じさせる凹凸のあるプラスティック板の奥に、セロハンを張って日にかざして見る。素材の性質に寄りかかった、何のことはないお手軽な造形あそび玩具で創造性とは縁もユカリもない、ありきたりの子ども用の参加イベントの具にすぎないこんなもので、平和へのメッセージというところにこの上映会の素性が表れている。

広告代理店が仕掛けるような子ども用のエサを日本の最果ての島で、「空間プロデューサー」が只で見せたい映画とはどんなものか? などと思いながら、石垣空港をプロペラ機は離陸する。

私の4K席は通路を挟んで各二席だけの四人掛けで内側の4Cにいた先客に立たずに座れると言ってやって、着座後二言三言交わした隣人こそ多摩美卒の今日の主役だった。

2007年以後のことだが石垣周辺の島で開かれる映画上演には、必ず足を運んできた。私は「文化の振りかけ」と呼んでいるが、ひも付きの文化事業は、その一〇〇倍も一〇〇〇倍もある巨大事業の目眩ましの添え物に過ぎない。

こうしたわずか1%か0・1%を嗅ぎ付ける嗅覚が、映画制作の動機になっていることを目撃してガッカリしたいのかその度に我が身を疑う。上映作品言及までたどり着けなかった、以下紙。

巨大事業とはこの際戦争のことだと要っておかねばならないが、私は非武装中立論から島に来て宗旨がえした者でもある。

港からいつも見上げてきた伝説の巨石の洞は伏流水を滴らせていて掬うと、ぬるい。さっきまで見上げていた小さな石組の突堤が、視界の最前部に確認できる。

その石組の隙間に、流木を突き立ててみた。こうすれば簡易にハンモックを、安全に吊ることが出来る。私のインスタレーションが仁木某とどう違ったものであるのか? 面倒な時代だと言ってばかりいられない。