かかとを踏むなら

かかとを踏むならそれを前提に作る、低きに流れる消費動向──クロックスが作ったズックはスリッパみたいなヤツ同様、かかと踏んで下さい──といった仕様になっている。

あの軽い底は磨滅耐性に劣って、穴が開いたら地球が見える。内底に敷物はなく、素足には気持ち悪い。小指脇にはどのスニーカーより、ゆとりがある。

縫製の堅牢度も、最良。履き心地はあのスリッパで、足回りはスニーカーのホールド感。350余のズックに囲まれたこの何年か、もっとも頻繁に履いたのがこれ。バナナの穴を200本近く掘った土方も、ほぼコレを履いていらっしゃった。

写真の紐通しは閉じた構造だが、微妙な緩慢のアンバランスを綴じ直した。(靴紐を綴ると言ってはどうだろう!)