スコップ10本

角丸どちらか言えば角スコが少ない気がする、合わせて10本くらいあって普通だろう。牛馬豚舎鶏舎の床をジャリジャリいわせて掃除する目的と、トタン板の五倍ほど厚い上でセメントを練る。小振りだと具合がよいが、それはなかった。

角スコの用途で思いつくのは、この程度だ。柄もオールスチール製のものは比較的新しかったろう。三代に渡って増えていった。どれがいちばん古かったかという視点で、見たことはなかった。

五〇を過ぎていたのに、自分のスコップを持っていなかった。地べたと暮らす自覚があったと思えない。相続したマンションから風呂の蓋一枚持参したのに、スコップは全部捨ててきた。

1000キロ走ったあげく船に二度積み替えて、ロングバンで四往復した。それでも行き来に制約があって、運べるものにも限りがあった。島でスコップが、一本二本と増えてきた。

小振りなスコップもいくつか買った、使い手が色々だから。欠けた刃を治したのは、はじめてだ。思ったより硬い。土中ナニがあるか、分からない。そりゃそうだ。

また一〇本くらい、貯まったかな。隙間に詰めて二本だけ、海を越えてきたんだった。成人男子の丈より、余程長い柄の二本。来年こそ、それを使う。