南京袋を繕う

門(カド=中庭)に干した籾を、毎日取り込む。箕で受けて毎日南京袋にしまって、翌朝また展開したムシロに拡げる。曇天は休み。何日かして干し上がったら、籾擦りしてカマスに詰めて出荷する。それを「供出」と言っていたのは、お上に従った時代のことだったからだ。

南京袋は裏返してシイナや籾の野毛を逐一つまんで取ったら、日にあてて仕舞う。ネズミのお駄賃が付いていては、ついでに穴を空けられる。

それでも見逃した穴から、野良で脱穀のさ中に詰めた南京袋から盛大にこぼれ出すことがあった。外で繕う手間はなく藁を手ごろな棒状にまとめて、籾が吹き出す穴にねじ込むのだった。

しばらくして火鉢が恋しい頃、祖母や母が落ち着いて継ぎを当てることになる……。本宅を仕舞ったおり、処分しそびれた南京袋をいくつか島まで持ってきている。

あてのないことだったが、使い道ができた。ここのところサイザルロープを使ったものを作っているが、それに南京袋が紛れ込んでも違和感がないんではないかと。

70年か100年か前の南京袋のあて布に、心当たりあるような気がしてきた。