今日の、にならない。

これは今日のとはならない。昼食を持参することにして以来、毎日お握りだった習慣を改めた。
しかしこれでは今日の……にならず、今日もだ。大館の佐々木さんの曲げものを、毎日遣う日がやってきた。。どんな風の吹き回しか。

台風は夜半11時25分ごろだったか、ふと風が止んだ。無風の張り出し部分に出て見ると、派手な前照灯をかざして港へ入ってくる船があった。

間に合うかもしれないと思われたが、接岸にあと一〇分というところでふたたび暴風が再来した。深夜に怪我人、あの風にヘリも飛ばせずのっぴきならない事態ではなかったか。


左右別の拘りから解かれた日に、わをかけた方がいらっしゃった。足の速い台風はまた片鱗もなかった昼間、二十歳を頭に四人いる彼女は何歳だ?と気さくな彼ご主人は値札も見ずに次々試着する彼女を指して言うのだ。彼の稼ぎもいいのだろう、いちもにもなく買う気の彼女は靴に関して審美眼を確立させたヒトなわけ。

二十歳の子から逆算してやや若メに見積もって42歳と言って、さらに二歳多く言われたと彼。でこの焦げ茶色にピンクのロープを結んだハイカットの、同じ片方はどこだ?と彼女は当然のことを尋ねる。

そのスニーカーには23000円の札が付いていることに最後まで頓着しなかったが、またここのすべての靴が左右別々に組み合わされていることにも気がついていなかったのだ。

それは紅露(くーる)という西南諸島特有の伝統染料を用いたもので、スニーカーのゴム部まで染みた一見汚ねー代物だった。私はその靴になりかわって、彼女を逃すべきじゃないと思ったネ。この靴のシンデレラを確信できる機会は、そうそう訪れるわけでない。


左右ともチャコール、新しく染めて結ぶ、着払いを待て。15000円でよいと言ってしまった。雨戸を閉めて風の出てきた夕方、私は島で一軒の靴流通センター。アサヒ靴ですね、に走った。

こうして300番台は左右同じ(結ぶロープは違う)のが、ちらほら産まれることになるでしょう。台風一過、今朝の話題はきっと、次来る台風のこと。