過去を旅する

河出新書写真篇21「峠と
高原」川崎隆章 76頁全モノクロ写真。
昭和30年11月30日発行 5刷り昭和32年1月15日 定価100円

日地出版「全国旅行案内」B4縦半切 8折りと63頁 200円
発行日は不記載だが、都市詳細図に大阪万博配置図があるから1970前あたり。
色分解したカラー写真が、一枚だけある。河川敷きに咲く菜の花、鉄橋を渡る丸い鼻面の新幹線、遠景に富士。ほかは画き版。

現在に重ねて過去を旅する……似たような、ことをする人がいるものだ。若い登山家の記録が収まった文庫本をもって、明日は海のむこうだ。南の島に秋風も吹いて10月で五度だから、二ヶ月に一度の割だ。こんなことを繰り返して一〇年、自分の地べたが手に入る。

その1200坪に私の短い未来が展開するが、山から引かれた水道、野生の実生のくだもの時計草、一〇〇年のアコウの森などなど横たわる永い過去にほんの短い継ぎ足しにすぎない。