「藁より始まる」

このごの農に関するアプローチの全体を、こう呼んで再開した。藁よりはじまる……。日だまりの僅かのひと時、カドにひろげたものはビクだけでない。その大小、叺(カマス=こんな字?)、俵のフタ(座布団って呼んだことがある)。今日のところは、これくらいにしておこう。
カマスに米を詰めて出荷していた覚えもある。ものはムシロと同じ、折り返し分だけベロを出して両端を綴じつけたもの。裸電球の下、竹針で翌朝の出荷にそなえて最後の荷造りをしている男の後ろ姿。

小ぶりで姿のよいビクは妙に綺麗だと思えば、縦糸に縄でなく麻が使ってある。これでさえ、四〇年は屋根裏で眠っていた。
西日に、懐かしい藁仕事が輝く気がする。風がでた。