島では豆腐の上に

アラザンのふりまかれたケーキを看板屋が、帰りがけに持たせてくれた。幕開けの前々日のこと。あらかじめネットで島内のそうした業者リストをもってきていたが、ハンモック展の案内看板の発注先はすぐ見つかった。
看板といっても今ではコンピュータが命ずるカッティングマシンが切り抜いたシールの文字を貼って作られる時代だが、せめて大きな「小川茂展」の字くらいはヒトの手が画いた看板にしたい。
こんな島に生き残った化石のような看板画きには会えなかったが、私の注文に心安く応じてくれたばかりか仕事場の作業台をハンモックの仕上げ作業に占領されても、おてんと様の下で自分の仕事をする男だ。
港を出てまず埋立地に小屋掛けの看板屋でもあるまいかとうろついて、飯にしたのは「はるちゃん」。猪ちゃんぷるでご飯を食べていると、のれんを押して「今日はどーですかー」と背後に声。
はいーと奥からお姉さんが出てきて、手だけのれんから突き出した先にはフキンを敷いた木箱に食パンほどの大きさの豆腐だ。お姉さんはひっくりかえした豆腐をバットで受け取り、天地を反され上に載ることになったフキンをつまんでのれんの外に返した。
沖縄は豆腐の消費量で、No.1ではないという。一丁は一丁と数えて比べるよりないが、ふつう豆腐一丁は300グラム見当だが、当地の豆腐は900から1000グラムもあるからなんだだそうだ。
奴の上に可愛いが塩辛いサカナがのっているのにおどろく。これは薄暗い焼鳥屋(古本屋となり)での写真でわかりにくいが、ほかのトッピングは佃煮海苔、味噌(なんだか辛い)におかか