青桐

屋敷の裏に藪があって中に桐があることに気がつくとみるみる伸びてそれが姉の記念樹だと知った幼い日、ラジオの尋ね人を聞いていると「あの桐売らんかね」と言ってきた人がいた。

お嫁にいくときの箪笥になると当人は言っていたが、芯が腐って用を足さなかった。

青桐はそれとは違うが、どちらも一年ですっくと伸びる。
初めて外皮を剥がして樹の性というものを見てみたが、葉っぱだけでなく木質もよく似ている。

知らなかったことだが皮を剥いで塩水に晒すと、生ナリの繊維がとれる。
ぺらぺらの唐草布一枚でなく、九州以南の獅子舞いはふさふさした姿態で踊っているところは見たことがあった。

それがアオギリの外皮から採った繊維だとは、知らなかった。
サイザルロープよりソフトな感触で、土瓶の弦にするとこんな感じになる。
アオギリはありふれたものだから、一年生の枝を一本失敬して剥がしてみた。
生木を剥がして、すぐ水に浸けないと、繊維質が壊れるだろうか?