2009-01-01から1年間の記事一覧

葉陰のロウバイ「萌えスイッチ」

26度の石垣島ほどでないが、12月もはや中旬というのに暖かな日が続いている。島にいる間に冷えた日があって、「萌えスイッチ」が入ったのだろう。 ロウバイの黄葉も十分でないのに、ほころんだ蕾がある。絵の具の色名でいえば、カドミウム・イェローより…

組合員各位

ケイタイのこころもとない解像度で自信はないが、黄・青二色はそれぞれ肥料と農薬の注文票である。黄=肥料は32品種、青=農薬で41項目ある。農協のごく末端の元締めである私に、JA尾張中央の春日井営農生活センターはこれを町内の組合員に配れともっ…

焼きものの古い町

島には愛知県下の新しい国際空港から往復している。それは焼きものの古い町・常滑(とこなめ)と、浜を隔てた人口島上にある。東海三県にレール網を張る名鉄が乗り入れているが、橋に歩いて渡れる道は取り付けてない。ここに飛行機で下りるたびに私は300円…

デッド・ストックでない乳母車

コイルバネのついたプラットフォーム(!)に、とうで編んだカゴを載せた乳母車をガラス戸の奥にみつけて思わずオデコをこすりつけた。乳母車……今でもこの言葉はいきているだろうか。実母のものでない乳を飲んで育つ赤ちゃんが、乗っているのだ。その子でなく押…

カマド解体

大曾根(名古屋市北区)では古家をギャラリーにしてきたが改装のたびに剥がした土壁をとっておいて、思いつきで店先にカマドを築いた。暮れに恒例にした路上のモチツキで、しばしば消防車を呼んでくれる隣人がいたからである。 店は立ち退いてカマドは自宅近く…

評者・太田昌国

民族問題研究家・編集者という肩書でカストロの「同志諸君」を12月13日の中日、日曜の読書特集に紹介している。国家の指導者のなかで国際問題に関する発言で、傾聴の値する稀なひとりだとカストロを日曜の朝に持ち出す。スカトロと読み間違いはないかと…

鋳物の焚き口

サイズはおどろくほど、細かく分かれている。薪であれ藁であれ炭・柴であれ日々のくらしのなかに火をあつかうシーンは、つい四〇年前まで多彩だったから驚くにはあたらない。 これは風呂焚き用のサイズの焚き口だとデッド・ストックとおぼしきモノに、大急ぎ…

死ぬなら石垣

島の日刊紙「八重山日報」をぼんやり眺めていた夕飯どき、こんな広告が肩をならべていて驚いた。死ぬなら石垣なるコピーでどうか? ゆいホールの20万円は、ホール使用料一切無料でホール使用時料金・礼状・礼品などは含まずになにかカラクリがあるにしても…

サトウキビの葉を

初めてサトウキビの葉を、田で焼いてみた。サトウキビは藁よりずっと賑やかにもえるが、ついててやらないとひとりでは燃え残るたちで世話がやける。積み上げて火を大きくするならよいのだが、田の灰にするなら薄くひろげて燃やしたいからだ。

使いかけの

使いかけのツーサイクル・オイルさへ、とってある。持ち主を失って一五年は数えたが、さらに何年たったろうか。振ってみる。水よりずっと質量の大きいそれは、少し遅れた手応えで私の嘆息に答える。ひとまずおく。

サトウキビくらべ

やっと刈り取ったサトウキビを始末して束ねた。押し切りをこんなふうにちゃんと使ったのは、実は初めて。上向きに山なりで取り付けられた刃の妙に手前が目減りしているのがなぜか、使ってみてようやく分かった。それを言うのはやめておこう(別項)。 奥の束ね…

わらつづみ

収穫の秋が終ると今年も、その人の田には藁つづみが立った。父の死後、この地区で最年長者となった人の手によるものである。それを見て、この年もその人にとって安泰に暮れたと私は思うのだ。 痩せてやや傾いているが秋晴れの日のなかで、八〇余年を過ごして…

はざかけ見本

台風がこわくて今年ははざかけを取やめて地べたに拡げて干すことにしたが(後述)、稲藁の長さがよく分かるようにしてみた。茂春サなどはこうして逆さに吊すと、稲の旨味が実に中に落ちる……などとおっしゃる。なるほどそんな気がする。 左から「あさひのゆめ」…

ブレード30枚新調

農機具小屋を壊したおり、たくさんの摩滅したブレードが出てきた。自分で初めて交換時を自覚して、何枚付いているか数えてみた。トラクターのうしろにしゃがんで、変形してしまっている激しく消耗した五、六本取りかえとこう。多めに10本ももらいましょう…

二本の腕木

ネットを肩幅に張る添え木をわが「ハンモック&昼寝協会(※いずれ後述)」では創立来三〇有余年に渡って、「張り棒」と呼んできた、ふと、腕木としてみたら収まりがよい。腕ならなんとなく、縦方向に支えるニュアンスが感じられるが、ハンモックに「腕」なら、…

ひとり、つくなって。

秋の収穫がすんだ隣の田んぼにひとりつくなって(しゃがみこんで)、小川茂春さんが散乱した藁をひとすべ二すべと集めて束(そく)を結っている。あたりはやがて夕闇がせまり、喧し屋のばあさまが呼びにくる。 この藁はただの藁でない。刈り取って一度も雨に当て…

土台石

「かど」とは中庭こことだが、これをはさんで母屋の対面に建つ家が「こうえ」あるいは新家。日本中の多くの農家が、こう呼ばれる構造をしている。 復員してきた当家の長男である父・勇が隣市・小牧市小牧原の梅村氏から嫁(長女・喜代子)をもらって建てたもの…

今年の巣

タモを背中にさして、稲刈り機を動かした。一条刈りだから稲株列の数だけ田の一辺を往復した。田一枚=1反で歩いた距離は、ええと何キロになる……などと考えているうちは先が見えない。 そのうちゴルフボールとかピンポン玉よりよほど小さいものが、跳んでで…

亡父の取説・2

戦中は航空機の整備が役目だったとかで、マニュアルの扱いに慣れていたからか。私が知らないだけだろうか、横書きのマニュアルの表紙が最終ページに付け替えられている。 こうすると表紙見返しの目次がいちばん上にきて、使い勝手のよいマニュアル帳になるこ…

「8メートルの棟木」

整地中の旧宅地、二階家に上がっていた棟木は八メートルの松が二本つなげてあった。人力で上げたものが人力で降ろせないはずはないと言ってはみたが、けっきょく重機のお世話になった。いまは空き家の貸し倉庫に、ひとまず収まっている。 重機で地上に降ろし…

「第二の人生」

こう題した「くらしの作文(中日09・9/15)」はよい出来。書き手・洲脇文子(愛知県岡崎市)の紙面上の肩書きは、主婦・54歳となっている。以下が全文。 昭和五十八年、この団地に越してきた時、私は「菜っちゃんのおばちゃん」だった。その後、飼い犬の名で…

「さんだい話」

さんだいばなし

隣の町内にあかぬけした本屋があって屋号がわからないが、それを青木書店と呼んでいる一派がいる。地元民デス。不通の店だった前科があるからね。潰れて代替わりして、こうなったようですと、「死ぬまでに観たい映画1001本」を買いながら、かようなジョ…

取説の取説・1

いまどきこのカメラの取説も当然のこと横書き、表紙をね前にして綴じ代が左にある。はじめて見る取説を手にとって、なんだか違和感がある。あちこちめくりながらそのわけが、なかなかわからなかった。背にはセロテープで張り直してある。読み込んで傷んだ跡…

隻の会(仮称)

小三の息子が初めて眼鏡をかけ、バッティングセンターに行ったら、人が変わったようにいい当たりを連発した。「球をよく見て」「バットは短く」なんて素人の知ったかぶりよりも、まずは眼鏡が必要だったのだ。 近視など目が悪いことは不便だが、不幸なことで…

梅と雨

屋敷の隅に忘れられた木が年に一度、自分を振りかえさせる。家屋解体のついでに丸坊主にしてやった梅だが、一年でこれまで枝をのばして実をつけた。行きつけの飲み屋の女将がついでに漬けてやると言うので、一つ残らず摘んだ。小さな金笊の方は、美味しそう…

「木苺の家・2」

田を七つの三角に割って歩いて割り出した面積を合計は、661・982平方メートルと出た。小学生の結論である。このリポートには2002年8月27日の日付がある。外溝部に未解決箇所は少なくないが、この夏で一先ず屋移りを終えた。重量計算・刻み・建…

梅雨前にようやく雨樋を取り付けた「木苺の家」

小学生のトモロウと、そのおじいちゃんからもらった田を一枚埋め立てて家を建ててやろうと、夏休みの自由研究として歩測三角測量をしてから長い時間がたった。彼は高校二年の夏休みをむかえている。

魚影・2

まだ「かすがいぐち」という廃駅の土盛りのあったころ、この辺りで鉄路をくぐる川は二つあって今もそのひとつは空を仰いで流れているが、夏にはここに子供たちの嬌声をあげて泳ぐ姿があったといったら周辺の住民に驚かれるだろう。 この辺りに住まいは一軒も…

魚影

木曾川から取水した農業用水はこの地では、市街地で暗渠となって見え隠れしてやがては伊勢湾にそそぐことになttげいる。中干し期に入っても夏空は回復せず、水量は衰えない。線路脇に顔を出した水路を覗いてそう思っていると、久しぶりかに魚影をみとめる…